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映画
「汚れたミルク あるセールスマンの告発」の感想。正しい事を貫く難しさが描かれている。

映画(2023年以前の公開)

「重そうな映画だなぁ」とちょっと思って避けていたのですが、どうしても気になってしまって観てしまいました。

内容は、やっぱり重たかったけど観てよかった。全編を通してキツイ現実を突きつけられるだけでなく
しっかりしたドラマになっているので、大事な事が伝わってきました

作品情報

監督:ダニス・ダノビッチ
出演:イムハン・ハシュミ、ギータンジャリ
日本公開:2017年3月4日
上映時間:90分

 監督の過去作「ノー・マンズ・ランズ」です。こちらも良さそうです。

<あらすじ>

あるグローバル企業がパキスタンで粉ミルクを強引に販売したため、不衛生な水で溶かした粉ミクルを飲んだ乳幼児の死亡率が増加してしまう。自分の販売した粉ミルクが子どもたちの命を脅かしていることを知ったセールスマンのアヤンは、企業を訴えようとするが・・・・・。

映画.com: https://eiga.com/movie/85841/

映画の構成は少し変わってます。主人公のアヤンが、自分の半生をとある映画制作陣に話す形で構成されています。普通に彼(アヤン)自身の物語だけでよかったと思う・・・。

劇中では、スカイプか?何かで話している。モニターごしでアヤンの話を聞きながら映画を制作した時のリスクなどを打ち合わせています。

何故、こうした構成になっているのか? 後半から最後に判るので映画をご覧ください。ただ、ビックリするような展開ではありません。

ざっくり解説-その1

映画を観たあとに、内容がどれだけ真実だったのか?を知りたくて少し検索をしました。

バッチリの回答にはたどり着けなかったのですが関係してそうなものを下記に紹介しておきます。

そして、この映画で登場しているグローバル企業とは「ネスレ」の事です。映画でも言ってます。
ネスレ・ボイコット – Wikipedia

ネスレなどの多国籍企業が発展途上国で「粉ミクル」を強引に売り始めた事で問題が起きたので「もうネスレの製品は買わない」という不買運動の事です。

でも映画の年代と違っているんですよね。驚いた事に「ネスレ」のホームページにはこの映画に対してのコメントがあるのです。

よくある質問と答え

簡単にいうと「事実と違うよ」と冷静に書かれております。一体なにが本当なのか?・・・・。

ざっくり解説-その2

*これから内容に深く触れます。知りたくない人は気をつけて下さい。

問題は売られていた「粉ミルク」は普通に使えば何も問題はないという事。「汚い水で作られたミルク」や「極端に薄められた粉ミルク」を飲んだ時に栄養が足りなかったり下痢を繰り返す事になってしまう。

仮に日本でこれを聞いたら「なんで清潔な水で作らないの?」とか「薄めて作ったら駄目でしょ?」
て考える人はたくさんいると思う。

しかし!

発展途上国では「清潔な水」が簡単に手に入らないし、粉ミルクを十分に買えない人もたくさんいる。

そんな状況なのに大掛かりな営業をして「粉ミルク」を買わせた側には責任がないのか?という問題なのです。なぜなら「粉ミルク」ではなく母乳で育てればよいのですから。

映画のなかでも少し出てきますが、先進国に対するコンプレックスを感じており憧れの先進国が作った粉ミクルだと自然とブランド力を発揮してしまうのです。

そんな背景を知っていたにも関わらず「粉ミクル」を拡散させた事が罪だ!とうのが、この映画のメッセージ。

特に「水道が整備されないのは自分たちのせいじゃない」と言っているシーンが印象的でした。  

どこの国でも営業は同じ

主人公のアヤンが、なんとか入社出来た後に教えられたのが「徹底的なセールスマニュアル」だった。

病院の先生と仲良くなり自社製品を取り扱ってもらうように接待攻撃を仕掛けるのだ。自社製品に自信を持っていたアヤンはどんどん医師達と関係を強くし売上を伸ばしていく。

この姿を見ていると、日本と同じ!と思ってしまう。売上を伸ばす方法はどこも同じなのかと。しかもアヤンはそんな自分に満足しているように見える。なんだか身につまされるような気がしました。

告発する事の難しさ

アヤンは、自分の売っていた粉ミルクが原因で死んでしまった子供がいるかもしれないと思い会社を辞めて状況をWHOなどに報告しようとする。

しかし、たった1人のセールスマンが巨大企業に何かを訴えようとしても何も出来ない・・・・。

そして、結局は疲れてしまう。いつ報われる時が来るのかかもわからないのです。

それでもこの映画を誰かが目にしたという事は、何か意味があったのかもしれないなと感じる。

まとめ・評価

重たいテーマで、ドラマチックな展開があるわけではないのですが、目をそむけてはいけないと感じる映画でした。

少しでも気になった人は是非!

<映画の評価>
☆5個/8個

作品ポスター:(C) Cinemorphic, Sikhya Entertainment & ASAP Films 2014

では、またどこかで。

<AmazonPrime>

<DVD>

配信情報(2022年11月)

見放題:無し
レンタル:AmazonPrime、dTV

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