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映画
「ビースト・オブ・ノー・ネーション」兵士へと変貌する少年に胸が苦しくなる。

映画(2023年以前の公開)

少年が兵士へと変えられてしまう。内戦・戦争によって生み出される負の側面に胸が締め付けられた。この映画では、争いによって奪われる側の悲劇ではなく、強制的に奪う側になってしまった者の悲劇を上手く描いている。Netflixでしか見れないのが残念。

映画情報

タイトル:ビースト・オブ・ノー・ネーション
出演者:エイブラハム・アッター、イドリス・エルバ
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
公開:2015年 *Netflixにて配信
上映時間:136分

<あらすじ>

内戦が勃発したものの、まだ平穏に毎日を過ごすことができていたある日、少年アグーの暮らす村に、反乱軍を弾圧すべく政府軍がやってきたことから、ささやかな日常は崩壊する。アグーは命からがら逃げ出すが、武装集団の指揮官に見つかり、強制的に一味に加えられてしまう。弾薬を運ぶ係として否応なしに戦闘に参加させられたアグーは、いつしか機関銃を掲げる兵士へと変わり、その手を血に染めていく。

映画.com :https://eiga.com/movie/83159/

ざっくり解説(子供の兵士)

この映画では「子供の兵士」の存在をテーマに描かれています。私は、この映画を観るまで、その実情を知らなかったです。

国際刑事裁判所の規定では15歳未満の子供への強制的な徴兵や敵対行為への参加は戦争犯罪として定められているらしい。
にも関わらず、現状は子供の兵士が存在しているのは、いくつか理由がある。
・誘拐されて兵士にされる
・復習や生活の為に志願する
・子供でも扱える武器の小型化
などのらしいです。

教育の欠如や復讐心を煽り、生活基盤を与える事で少年が兵士へと変わっていく過程が丁寧に描かれています。

詳しくは、こちらのサイトをご覧下さい。

子ども兵士がいる国はどこ?子ども兵士の数と理由を調べよう|国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン(新しいタブで開く)

子供の兵士が多いとされているのがアフリカらしく。この映画のロケ地。撮影は相当大変だったらしく。当初予定していた予算をオーバーしたらしい。

少年の人生

この映画のポイントは、主人公の少年は兵士になりたくてなった訳ではないという点です。彼は家族を殺されてしまい、どこにも行く場所が無く、生きる為には反政府側の組織の兵士になるしかなかったのです。

最初は、家族の復讐をしたいとは思ってはおらず、更には政府側と戦う信念も持ってはいない。しかし、無関心のまま組織には居られないので、戦う信念があるように振る舞い、後付でに考えが伴ってきたように観えました。

超スケールダウンする話ですが、友達の居ない中学生が、たまたま不良グループに誘われて、周りに合わせる為に悪い事を一緒にやる。最初は嫌だったけど次第に染まっていく。
みたない感じです。

主人公のアグーは、まだ良識ある家族に育てられた経験があり、善悪の判断がある設定です。しかし現実には幼かく、まともに教育を受けていない子供は、何が悪い事なのか?を歪んだ教育をされてしまっているんだと知りました。
争いの元になっているのは、教育であるという事の怖さを描いています。

とても狭い世界

アグーの部隊をまとめている指揮官は、部隊の中では圧倒的なカリスマ性を放っています。しかし、それは、とても狭く、小さい世界での話なのです。


この指揮官の描き方がとても秀逸だと思います。部隊の中でのカリスマ性の観せ方と、客観的にみえた時の描き方が違うのです。

部隊の中ではとても大きく観えます。なぜなら周囲には子供が多くいるからです。そしてどんな言葉も疑わないのです。しかし、正規軍と戦う場面になると子供を引き連れた痛い大人(おやまの大将)みたいに見えます。

この描き分けがとても上手く、少年アグーが観ている景色と、本当の世界の景色の違いが表現出来ていたと思います。

まとめ

とても凄いテーマをぶつけられた感覚になります。目を背けたくなる事は多々ありますが、ちゃんと向き合わなければいけないと訴えかけれているような気がしました。
出会えて良かった映画です。


<映画の評価>
☆6個/8個満点

作品画像の引用:https://www.netflix.com/jp/title/80044545

本作品はNetflixのオリジナル作品なので、残念ながらNetflix以外では観る事は出来ないです。

ビースト・オブ・ノー・ネーション | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト(新しいタブで開く)

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