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「日本で一番悪い奴ら」の感想。傑作!軽快な作風に包まれた深い闇!

映画(2023年以前の公開)

映画「日本で一番悪い奴ら」を観ました。
犯罪・人の壊れ方を見事なエンターテイメントに描いている。本当に傑作!

<作品の評価>
☆6個/8個満点

作品情報・あらすじ

タイトル:日本で一番悪い奴ら
監督:白石和彌
出演:綾野 剛、YOUNG DAIS、植野行雄、ピエール瀧、中村獅童
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳警官の告白」(講談社文庫)
公開日:2016年6月25日
上映時間:135分

簡単なあらすじ

諸星要一(綾野剛)は、大学時代に柔道の腕前を買われて北海道警察の刑事となった。しかし、なかなか手柄があげられず雑用ばかりさせられていた。ある時先輩の刑事の村井(ピエール瀧)に手柄を上げる方法を教えてもらう。それはS(スパイ)を作って裏社会にどんどん入り込んでいく事だった。その方法で実際に村井は手柄をあげていた。
諸星も村井のようになりたいと思い。裏社会にどんどん入り込んでいく・・・・

予告編からも予想はできたが、本編もかなり軽快にテンポよく描かれていた。 
ほんとにあっという間に終わった感じがします。諸星の変化を端的に描いていたのが良かったのだと思います。

軽快なテンポのオブラートに包まれた苦い薬のような映画です。

前作の「凶悪」のような不気味な怖さは全くないです。しかし、エンタメとして「あー面白かった!」と終われない部分があります。

観終わってから次々に考えてしまうシーンがいくつもありました。 

組織に尽くした男の悲しい結末

主人公・諸星要一はとても悲しい男です。警察組織の役に立ちたくて、違法捜査を繰り返していきます。その過程で、権力と金と薬に溺れてしまうのです。
予告で派手に観せているのは、主に堕落の部分です。それをポップに観せていて、客観的には笑ったらダメな事もおもわず笑ってしまいます。

しかし、この映画の本当に素晴らしい所は、なぜ1人の警察官がそんな風になってしまったのか?という理由を描いているからです。

もちろん、はっきりと言葉で説明するような野暮な事はしていないです。
時々みせる諸星の弱い部分を見ていればよく判るようになっています。

タイトルの「日本で一番悪い奴ら」とは調子にのっていた諸星やその仲間たちだけではないというのが、観たあとに思った事です。

組織・正義・成果に弱い私たち

組織から徹底的に求められる成果に対して、そのためならば多少の犠牲は構わないという事が描かれています。

この辺の状況は、映画の中だけではなく実際の私たちの社会の中でよくある事なのではないのかと思います。

実際に私も会社で仕事をしている時に、売り上げを上げる為、効率を上げる為に、本来は考えなければいけない本質を見失ってしまう事があったように思います。
映画の中の諸星は確かにやりすぎてしまうのですが、それは成果を求めらるストレスからの反動なのでは?とも感じました。

悪徳刑事といえばデンゼル・ワシントンが主演した「トレーニング・デイ」がありますが、これは私欲の為に動いています。
それとは動機が違うところが面白いです。「組織の為」という部分はいかにも日本人らしいなと思いました。

YOUNG DAIS と植野行雄の2人がめっちゃいい味出してます

白石監督の作品はキャスティングがちょっと個性的というが、他のメジャー映画と一味違う印象です。脇役の人がいつもいい味出してくれてます。

今回は上記の2人ですね。

特にYOUNG DAISは主人公の相棒って感じで、諸星に巻き込まれた人生を送ります。これが本当に「いい舎弟」って雰囲気を見事に出しています。

そして、植野行雄ですが芸人だから、どうなんだろう?って思ってましたが、すごくハマってました。 

この2人が居なかったらもっとチープな映画になっていたのではないでしょうか。

あと矢吹春奈も良かったです。エロいです。

こんな人にオススメ

社会派エンタメ好きな人には是非ともオススメしたいです。
単純に綾野剛のハイテンションでヤバい芝居が観れるので、女性も好きかと思います。デートでもありですよ。あまり深く考えなくても楽しめるようになってます。

グロさはないので安心して下さい。 

まとめ

白石監督は作品の全体イメージを作るのが本当にうまい監督だと思います。
前作「凶悪」では「怖い」というイメージを作り、今作では「悪い」というイメージを見事に作り上げています。

作品のイメージ作りは、監督1人の力だけでは完成できないです。プロデューサーや宣伝の力も必要です。しかし、根本的に映画がはっきりしていないとイメージの持ちようがないです。

そうする事によって映画を観る前のお客さんにはっきりとイメージを伝えられるんだと思います。

今回の例でわかりやすく言うと

観てない人「あぁ、あの悪い警官の映画でしょ?面白いの?」
観た人「うん。すごい悪くて、面白い」
観てない人「へぇー、じゃあ、観てみるかな」

となる。

すると映画を観る時にすんなり物語に入れる。そして「悪い」だけでなくもっと強いメッセージ性もあるんだと伝わりやすい。
つまり、他の映画に比べて「フライング」もしくは「助走」しているようなものだと思う。

間違っても「あ〜、こういう映画だったのね。思ってたのと違うけど、これはこれで面白いよ・・・うん。」なんて事にはなりにくい。

まとめと言っておきながら、ものすごく長くなってしまいましたが、今後の作品に注目したいです。

では、またどこかで。

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