映画「怒り」を観ました。
原作を読んでからにしようか迷いましたが今回は読まずに鑑賞。これが正解だったのか、すごく新鮮な気持ちで映画を楽しむ事ができました。
作品情報・あらすじ
【映画情報】
タイトル:怒り
脚本・監督:李 相日
原作:吉田修一「怒り」
出演:渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、
綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡
公開日:2016年9月17日
上映時間:142分
「悪人」に続いて吉田修一と李相日監督が再びタッグを組んだという宣伝アピールですが、今回注目したいのは脚本を李監督が担当しているという点ですね。
前回の「悪人」では原作者の吉田修一氏も脚本にクレジットされていました。
これは個人的にどうなんだろうと思っていた点です。やはり原作者が脚本に関わっているとやりづらいのでは?と懸念していました。
今回は李監督だけのクレジットという事で「悪人」よりもずっと良い仕上がりになったと思います。
<あらすじ>
東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港でくらす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は無人島で田中という男と遭遇するが・・・。
引用:映画.com https://eiga.com/movie/81486/
本人視点に巻き込む演出
物語は大きく3つの場所で同時に進んでおりお互いがリンクする事はない。(これはちょっと残念ではあったが、それは置いておいて)観客側からすると「犯人は誰?」というが最初から気になるところ。
そして、3つの場所に登場する「怪しい3人の男」を見て、「こいつかな?」なんて思いながら物語は進行していく。
物語が進むにつれて、劇中でも「あの人、殺人犯なのでは?」と思いはじめる瞬間が出てきます。すると、観客も全く同じ気持ちになってくるのです。こんなにゾクゾクする演出は滅多にお目にかかれません。
犯人像を見せながらも決して誰か?をわからせない演出と脚本が本当に上手くはまっていたと思います。おそらく何度も考え抜いたのではないかと思います。凄いです。
信じられなかったツラさ
この映画のテーマ的なところは「人を信じる事ができるか?」という点だと思います。いかにも怪しいと思いながらも心を寄せてしまった人を信じられるかどうかの描写にはすごく考えさせられました。
「自分ならどうするだろう?」なんて思ってしまいます。
そして、クライマックスに描かれるのは信じらえなかった事の辛さ。これには自己嫌悪してしまう主人公たちの演技が素晴らしいです。
サスペンスから感動へ
この映画のジャンルはミステリー、サスペンスというものに分けられると思いますが、ちゃんと回答、解決を見せてくれているのは好感が持てます。
原作がそうなのかもしれないですが消化不良には一切ならないです。
そして、サスペンスの回答が出たあとに感動的なストーリーが待っています。
この展開はよくある事だと思いますが成功している映画はほとんど無いです。ところが、この映画はそれが成功しているのです。
この感動があると、前半部分を何度も思い出してしまいます。こんなに見終わってから思い返す映画も珍しいです。個人的には妻夫木パートが良かったです。
慟哭するシーンに共感
この手の映画では慟哭するシーンが登場します。激しく泣いたり、叫んだりするシーンの事です。どうしても客観的になってしまいがちです。
しかし、この映画の慟哭シーンはこちらも気持ちをシンクロさせらえるのです。
こんな経験は初めてかもしれないです。
おそらく出演者たちの演技が良かった事もその一因でだと思います。
まとめ・評価
すごく褒めてしまいましたが、重い映画が苦手だという人にはちょっとオススメはできないですね。
楽しませるという映画ではないです。
でも考えさせる系の映画が好きという人にはすごくオススメです。
<映画の評価>
☆5個/8個満点
では、またどこかで。
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