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映画
「岸辺の旅」の感想・レビュー
おとぎ話のような良質な愛のロードムービー

映画(2023年以前の公開)

映画「岸辺の旅」を観ました。不思議な映画と簡単には片付けられない、愛のロードムービーでした。

作品情報・あらすじ

【映画情報】
タイトル:岸辺の旅
監督:黒沢 清
脚本:宇治田隆史、黒沢 清
原作:「岸辺の旅」湯本香樹実
出演:浅野忠信、深津絵里
備考:第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 監督賞受賞
   日本フランス合作映画

3年前に夫の優介が失踪した妻の瑞希は、その喪失感を経て、ようやくピアノを人に教える仕事を再開した。ある日、突然帰ってきた優介は「俺、死んだよ」と瑞希に告げる。「一緒に来ないか、きれいな場所があるんだ」との優介の言葉に瑞希は2人で旅に出る。それは優介が失踪からの3年間にお世話になった人々を訪ねていく旅だった。旅の中でお互いの深い愛を改めて感じていく2人だったが、瑞希が優介に永遠の別れを伝える時は刻一刻と近づいていた。

映画.com:https://eiga.com/movie/80556/

夫の優介役:浅野忠信/妻の瑞希役:深津絵里 が演じている。

上記のあらすじは観る前にちゃんと読んでおいた方がいいです。なぜなら夫が失踪していた事は、説明少ないままに突然、夫が帰ってくるからです。

「俺、死んだよ」の台詞で全てわかりますが、物語の進むスピードは早いので設定は事前に把握しておいた方がいいです。

日本の原風景が描かれている

優介が失踪していた時にお世話になった人達を夫婦で訪ねていくというのが主軸になっています。その訪ねた先の人達は皆が本当に良い人達ばかりです。田舎に住む人情味のある人との交流が描かれているのですが、ほんとに現代劇かな?と思ってしまいます。

勝手にこんな日本人の姿が昔あったのかもしれないなぁと考えながらみていました。

私は小松政夫の芝居がとても好きです。

死を前提にしたおとぎ話

観ているとなんだかほのぼのとした日常だなぁと思う一方で、夫がすでに死んでいる存在だというのが妙な緊張感をもたらしてくれます。
普通に会話していても次の瞬間には消えてしまうかもしれないという不安が常につきまとっています。
そして、これは本当に現実なのか?という疑惑を抱きながら、おとぎ話は進んでいきます。この感覚は他の映画にはない感覚です。似た様な映画を知らないので例えようがないです。是非とも観て体感して欲しいです。

絶妙なバランスの芝居

この映画は主役の2人の素晴らしい芝居無しでは成立しなかったと思います。

死んだ夫と生きてる妻の会話がなんとも軽いのです。すでに死んだ事を踏まえて色々会話をするのですが見ていて全然重苦しくなくて、笑えるのです。

この2人の絶妙な芝居だけでも一見の価値ありです。 

死とは何か?

 この映画を観ていて「死」とはいったい何なのだろうか?と考えてしまいました。

死んだはずの夫は確かに死んだのですが、普通に生きてる状態と変わらないのです。そして生きてた時はああだった、こうだったと色々話をするのがすごく不思議でした。

生きていた時は〜と振り替えってる事が、年配の人が少し若い時を語るように思えたのです。

「死」とは永遠の別れだと思っていましたが、ひょっとしたら少し歳を取って別のステージに行くようなものなのかな?と変な事を考えてしまいました。

宣伝しずらい映画

この映画はとても良いと思うのですが、やはり興行という点では難しいなと思います。

まず宣伝が難しいです。ひと言で「こういう映画です」と説明が出来ない。ではどんな点が魅力的なのか?という事も端的に説明出来ないと思います。

わかりやすく「カンヌで賞をもらった」って事を押すしかないのが残念です。

個人的にはもっとこの映画のテイストがわかる予告編を作っても良かったのかな?と思います。細かくカットをぶつ切りにせずに夫婦の会話シーンを長く見せるようなものでもこの映画の魅力は伝わるのでは?と感じました。 

黒沢清作品のオススメ

この映画以外にもオススメの黒沢清映画があるので下記にあげておきます。

・「CURE キュア 」とても不気味で、完璧な怖さがあります。

・「アカルイミライ」黒沢監督が描く若者の姿

・「ドッペルゲンガー」ノリの良いホラー。怖くはないです。

こんな人におすすめ!

黒沢清監督の映画を観た事が無い人。名前は知ってるけど難しいそうと思っている人に出来れば観て欲しいです。なんとも言えない奇妙な感覚を味わってほしいです。

また以前に他の作品を観たけど、イマイチだったという人も、今回はテイストが違っているので観て欲しいです。

まとめ・評価

黒沢清監督の映画は、正直言って理解出来ない部分はけっこうあります。でも、作品ごとに今までに感じた事のない感覚を与えてくれるように思います。特にこの映画は挑戦的に感じました。

こちらはテイストはホラーだと思いますが、それだけでは終わらない「何か」を見せてくれるのではないかと期待しています。

<映画の評価>
☆5個/8個満点

では、またどこかで。

<DVD>

<Amazon Prime Video>

配信情報(2023年4月)

見放題:U-NEXT
レンタル:Amazon Prime

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