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映画
「イニシェリン島の精霊」の感想
単なる喧嘩ではない「何か」を表現する高尚な映画

映画(2023年以前の公開)

「イニシェリン島の精霊」を観ました。一言で良いか悪いかを評価出来ない映画です。ただ面白い映画とは言えないだろう。興味深い映画だけど、人にはおすすめしない。感動する訳でもなく、ハラハラドキドキもしない。

映画情報

タイトル:イニシェリン島の精霊
出演者:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン
監督:マーティン・マクドナー
公開時期:2023年1月27日
上映時間:114分

受賞:ゴールデングローブ賞にて作品賞、主演男優賞(コリン・ファレル)脚本賞(マーティン・マクドナー)アカデミー賞にて作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演男優賞 、助演女優賞、脚本賞、作曲賞、編集賞の<主要8部門9ノミネート>

<あらすじ>

1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。

映画.com https://eiga.com/movie/97618/

考察①単なる喧嘩ではない

引用:https://www.searchlightpictures.jp/news/20230111_01

人間関係の破綻を丁寧に、そして上品にひどく描いている映画です。単なる喧嘩が壮大なものに見える描写は見事でしかない。そう思わせるくらいの表現力です。

私が思うにこの時代・環境(1923年の孤島)では、友好関係=資産だったのではないでしょうか?

いきなり「もう関わらないでくれ」と絶縁を言い渡せれた側(コリン・ファレル)のうろたえ具合が半端じゃないです。「そんなに?」と思ってしまうくらいです。

現代なら絶縁宣言されたとしても、こんな事にはならないと思う。何故なら、他にも友人はいるだろうし、一人でやりたい事なんて幾らでも見つけられる。しかし、この環境では余暇を楽しく過ごせる友人が居ない事はとても辛い事になると思われます。

映画を見ていて「もう関わるなよ!」と何度も心の中で叫んでました。しかし、彼ら(パードリックとコルム)は何度も関わる事となり、事態は混沌としていく。このカオス感は凄まじいです。

考察②人間関係の破綻とは?

引用:https://www.searchlightpictures.jp/news/20230106_01

映画を観ながら「人間関係の破綻とは何だろうか?」と考えていました。この映画では「破綻・争い」とは目に見えるもの、理解が追いつかないものであると説明していると感じた。

きっと言葉では説明出来ないのだと思います。劇中で相手の事を嫌いな理由を説明しているのですが、全く受け入れないのです。この状況は普遍的な事です。いつの時代もお互いに納得して友好関係を断つって事は無いでしょう。

どちら側も「相手が悪い!」と理由を見つけるのではないでしょうか。こういう関係性の真理みたいな事を皮肉に、エグく、面白く描いています。

閉塞感がエグい

イニシェリン島の閉塞感がエグい!単なる田舎では片付けられない。美しい風景とは真逆に淀んだ人間関係。まるでディストピアを描いているようである。

何が絶望的かと言うと、島の住人はこれが普通であると考えている所。映画を観ていると、こんな何も無いところで何が楽しみで生きているのか理解出来なかった。きれいな景色でゆっくり暮らす、所謂「田舎暮らし」なんてものとはほど遠い。

もしかしたら田舎には、こういう一面があるかも・・・と感じた。

まとめ・評価

一般的なエンタメ映画には無い深い味わいがあります。自分でテーマなどを考察する人には。この映画は良いかもしれません。また音楽も何気に良いです。

<映画の評価>
☆5個/8個満点

作品画像・ポスター:(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.


個人的には前作の「スリー・ビルボード」の方が好きですね。

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作品のテイストはヨルゴス・ランティモス監督の「ロブスター」と似ています。

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