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映画
「ある男」
超良質な人間ドラマ。丁寧な演出に脱帽する。

映画(2023年以前の公開)

高級懐石料理のような、丁寧で精密な映画です。芝居の一つずつをじっくり噛み締めながら観て、色んな事に考えを巡らせてくれる人間ドラマです。

映画情報

タイトル:ある男
監督:石川慶
出演者:妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝
上映時間:121分
公開:2022年11月

<あらすじ>

弁護士の城戸は、かつての依頼者・里枝から、亡くなった夫・大祐の身元調査をして欲しいという奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経験後に子どもを連れて故郷へ帰り、やがて出会った大祐と再婚、新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、大祐は不慮の事故で帰らぬ人となった。ところが、長年疎遠になっていた大祐の兄が、遺影に写っているのは大祐ではないと話したことから、愛したはずの夫が全くの別人だったことが判明したのだ。城戸は男の正体を追う中で様々な人物と出会い、驚くべき真実に近づいていく。

https://eiga.com/movie/95596/

<原作>

ざっくり解説

理枝(安藤サクラ)は、離婚して横浜から実家(文具店)の宮崎に戻っているそこに、大祐(窪田正孝)と出会い、恋をして、結婚する・・・・。

大祐の死後1年が経って、疎遠だった大祐の兄が線香をあげにやってくるのだが、遺影の写真を見て別人だと言い出す。

理枝は、離婚時に世話になった弁護士の城戸(妻夫木聡)に夫の調査をお願いする。

という流れです。妻夫木の登場は思った以上に遅いですが、物語の流れ上仕方ないので我慢です。

理枝が城戸を頼るのが、ちょっと引っかかる所。理枝の離婚の時に世話になったという事だけど、かなり昔の事なのでは?と思ってしまう。
おそらく、城戸は人権派の弁護士として有名なのではないだろうか。少しだけその描写があります。

また、死んだ夫の身辺調査が弁護士の仕事なのか?と引っかかるが、城戸自身も大祐の過去に興味を持っての行動なんだと思う。これは描かれてないですが、あまり気にせず観た方が良いです。

丁寧な感情の積み重ね

(C)2022「ある男」製作委員会 https://movies.shochiku.co.jp/a-man/

とても静かな映画です。ド派手な演出はありません。しかし、ずっしりと伝わってくるものがある。
一つ一つ丁寧に感情を積み重ねている事が素晴らしいです。

大げさに泣いたり、叫んだりという大きな感情の爆発がほぼ無い。あっても通常の範囲を超えない。
これがリアルで観ている人は、フィクションだという客観的な視点ではなく、自分に置き換える視点に近づくのではないだろうか。

「全く別の人生を生きてみたい」という考えに共感出来るというか、想いを巡らせてくれる映画です。
特に強いメッセージがあるわけではないが、観客に色んな事を考えてほしいという演出意図なのかなと感じました。

ノイズが負の感情を積み上げている

劇中で、メイン3人の周辺には、偏見というかステレオタイプなキャラが多く登場します。

大げさではなく「こういう人いるよな〜」というくらいのキャラクター。直接的に、何か嫌な事を言われるわけではないが、それが負の感情を積み上げている。

所々でイラッとさせられるシーンがあり、それがどこかで爆発するのではなく、溢れてしまう瞬間があって、すごく良い演出だと思った。

ちなみに柄本明演じる役どころだけは、異常だった。これはこれで凄かった。

まとめ

とても良質な映画だと思いますが、宣伝するのが難しいんだろうなと思いました。実は、私もスルーしようと思っていたので。どんな点を宣伝するポイントにするのかが難しそうでした。

ただ、個人的には、こういう映画が日の目を見るようになって欲しいです。
静かな映画なので、確実に集中できる映画館での鑑賞をオススメします。

<映画の評価>
☆6個/8個満点

では、またどこかで。

作品ポスター引用:(C)2022「ある男」製作委員会 https://movies.shochiku.co.jp/a-man/

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