映画「母の聖戦」を観ました。
ひと言で傑作!!135分もあるのにあっという間に終わってしまった。終始、母の執念が伝わってきて終わった後もしばらく立ち上がれなかった。
映画情報
タイトル:母の聖戦
キャスト:アルセリア・ラミレス、アルバロ・ゲレロ、ホルヘ・A・ヒメネス
監督:テオドラ・アナ・ミハイ
公開:2023年1月20日
上映時間:135分
ベルギー/ルーマニア/メキシコ映画
<あらすじ>
メキシコ北部の町で暮らすシングルマザーのシエロは、10代の娘ラウラを犯罪組織に誘拐されてしまう。犯人の要求に従って身代金を支払うも娘は返してもらえず、警察にも相手にされない。自らの手で娘を救うべく立ち上がったシエロは、軍のパトロール部隊を率いるラマルケ中尉と協力関係を結んで調査していく中で、誘拐ビジネスの血生臭い実態を目の当たりにする。
映画.com https://eiga.com/movie/95802/
メキシコの誘拐事情
一般的に「誘拐犯罪」はリスクの割に成功率が低いので、金銭目的では頻繁に起こらないイメージがあるが、メキシコでは全く違うようだ。発生率も高く、さらに警察もちゃんと動いてくれない。年間6万件も発生しているらしい。
映画を観ていて「何で警察に相談しないのか?」と疑問に思ってしまうが、全然当てにならないらしい。確かに劇中で警察が登場するが、全く協力的ではないし、事務的に処理をするのみである。
これは、映画的に誇張している部分もあると思うが、全くの嘘ではないだろう。
映画「母の聖戦」の感想
母の強烈な思い
一般市民の母(シエロ)が突然、娘を誘拐されてしまい、おろおろと誘拐犯の指示通りに動かれさる。しかし金を奪われるだけで何も解決しない。娘が居なくなった絶望と孤独だけが残る・・・。
そこからの母の執念が凄まじい。行動あるのみで素人ながらも一人で調べまくる。しかも人が変わるような劇的なものではなく、あくまでも素人であり一般人でしかない。
だから何か行動する時は戸惑い、恐れている。そういった描写が別世界の出来事ではなく「もしかしたら自分もこんな状況になってしまうかもしれない」という恐ろしさを感じさせ、フィクションであり、架空の話だと思えない感覚になります。
ドキュメンタリーのように母を追いかけているカメラワークも、とても臨場感があります。
上手い脚本
映画を観る前は「母親が娘を取り戻すなんて、どんな展開があるのか?」と疑問だった。大した展開が無いのでは?と心配していたが全然そんな事はなかった。
シエロが誘拐組織を探っていくと、明らかになってくる人間関係や事件の背景には驚きます。
サスペンス、人間ドラマ、社会派ドラマという3つのジャンルの要素が上手く合わさった物語になっています。個人的には好きなジャンルの要素が全て入って大満足でした。
不気味さ・怖さの演出
メキシコの街から漂う危険な匂いには、観ている間ずっと怯えていました。死を身近に感じる描写、危険な効果音がこの映画の不気味さ・恐ろしさを引き立てています。是非とも映画館で観て欲しい映画です。
まとめ・評価
これほど時間を忘れしまう映画は珍しいです。内容は重たい部分はあるが、いろんな意味で胸が熱くなるので是非多くの人に観てもらいたいです。
残念なのは作品ポスターがイマイチだという点。どこにも引っかからないし、この映画の良い点を全然伝えられてないと思う。もう少し宣伝が良ければ、注目を浴びる映画になったはず。
<映画の評価>
☆7個/8個満点
では、またどこかで。
作品画像・ポスター:(C) 2021 Menuetto/ One For The Road/ Les Films du Fleuve/ Mobra Films
「母の聖戦」配信・DVD情報(2023年10月)
<配信>
見放題:無し
レンタル:Amazonprime、U-NEXT、RakutenTV、TELASA
<DVD>レンタルはされてますが、セルの情報はないです。
「母の聖戦」に近いテーマ
関連テーマの映画:「誘拐」というテーマで思い出した映画を紹介しておきます。
「エル・クラン」誘拐を稼業にしている家族の物語。
<AmazonPrime>
<DVD>
「プリズナーズ」娘が行方不明になった父親と警察の物語
<AmazonPrime>
<DVD>
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